所用で日高市生涯学習センターを訪れた。併設された図書館の東側に僅かな芝生を敷いたスペースがある。その真ん中に一本のプラタナスがのびのびと枝を広げていた・・・はずだった。最近訪れていないので、いつ切られたのか知らないが、ばっさりと手、首を落とされたように剪定されている。そんなことはない、ただ、髪の毛や爪を切ったようなもの。との反論も聞こえて来るが、私にはどうしても先の印象としか感じられない。
プラタナスの大きな葉は夏の憩い、また、冬の日溜まりを提供してくれる木として、中国では至る所、街路樹として大切に育てられている。道の両端から延びた枝に覆われ、さながらプラタナスのトンネルと化す。
それに比べ、日本の街路樹は概ね悲惨な状況だ。道の間に木が植わっている。木の間に道がある、中国とは大違い。まして、様々な思惑がはびこる街路樹でもない、芝生の真ん中で優雅に暮らす一本の木。その枝というより、支幹をばっさばっさと切り落とす、行政の感性は理解に苦しむ。
おそらく、図書館の採光を考慮してのことだろうが、書物、印刷物にとって大敵となる紫外線から蔵書を守っていたのは、他でもない、彼のプラタナスであることを思うと、滑稽としか思えない。
やがては再び、枝葉を伸ばすだろうが、二度と同じ形にはなることは無く、切り痕はそのまま木の歴史として残る。また、延びきるまでの時間を考えると、失われたものは大きいように思うのだが。